ある朝、目が覚めると、私は壊れていました。
自分でも何が起きているのか分からない。
それが、私が初めて「精神の崩壊」というものを経験した瞬間でした。
今回は、人が極限状態になるとどうなるのか、話そうと思います。
心が壊れてしまい、はじめての心療内科へ
きっかけは、前日にショックな出来事があったことでした。
その夜はなかなか眠れず、頭の中ではいろいろな思考が渦を巻いていました。
たくさんのことを考えているようで、でも実際には何も考えられていない
そんな状態でした。
翌朝、何も手につかず、とりあえず「体調が悪い」とだけ伝えて、会社を休むことにしました。
けれど、自分でもわかっていたのです。体に異常があるわけじゃない。
異変は、心のほうに起きていたのだと。
体が思うように動かない。
けれど、何もしないわけにはいかない。
その時はまだ、「早く治して、仕事に戻らなきゃ」と思っていました。
気力を振り絞って、私は初めて
心療内科という場所を訪れることになったのです。
うつ病との闘い
自分の状態を話したところ、「うつ病」と診断されました。
何となく、そんな気はしていたものの
いざ自分が当事者になると、やはり衝撃は大きかったことを覚えています。
話には聞いていたけれど、まさか自分がなるなんて。
医師との話し合いの結果、
一ヶ月の休職と通院をすることになりました。
薬を受け取って、その日はそのまま帰宅。
頭の中は負の感情で埋め尽くされ、
廃人のような生活を送っていたと思います。
何もかもが嫌になって、一歩も動けない。
ただただ、押しつぶされそうになりながら
時間だけが過ぎていきました。
極限状態に連鎖する不幸
1週間ほど経った頃、インターホンが鳴りました。
誰かが家を訪ねてきたのです。
誰にも会える状態ではなかった私は、居留守をすることに。
しかし、「○○ですけどー」と、相手は名乗りました。
会社の人でした。
出ないわけにもいかず、玄関を少しだけ開けて対応することに。
最初にかけられた言葉は、「調子はどう?」でした。
私は経緯を説明し、まだ回復していないことを伝えました。
相手は「そっか」と一言。
その直後、「中で話そう」と言って、強引に家の中に入ってきたのです。
そしておもむろに、
「来た理由、わかるよね?」
そう言って、自主退職という名の“クビ”を宣告されました。
何が起きたのか、理解が追いつきませんでした。
確かに診断書を出し、1ヶ月の休職を認めてもらったはず。
頭の中に、前の記事で書いた「ブラック企業」での記憶がフラッシュバックしました。
極限状態にいた私の心に、さらなる絶望とトラウマがのしかかりました。
対抗する元気などあるはずもなく、
私はその日限りで、退職することになったのです。
あの頃の私の想い
この経験は、私の人生の中でも、間違いなく“上位”にくるほどの辛さでした。
当時は、「つらい」とか「しんどい」といった感情と言うより
それらをすでに通り越していて、
自分が何を感じているのか、何を考えているのか
私自身にも、まったくわからなかったのです。
例えるなら、頭の中であらゆる思考が猛スピードで交差し、
ノイズが走っているような、そんな感覚。
「この先、自分はどう生きていけばいいのか」
「元に戻れる日は来るのか」
人生のどん底にいるような感覚。
もともとあった“人に対する苦手意識”も、さらに加速していきました。
生きる気力もない。でも、死ぬこともできない。
「何をもって“生きる”と言うのか」
「人生とは、いったい何なのか」
頼る人もいない私は、
ただひとり、孤独の中で打ちひしがれていたのを覚えています。
振り返って今思う事
今振り返ってみると、
あの出来事は、私の人生において間違いなく大きな分岐点のひとつだったと思います。
自分の弱さ、脆さ、そして精神の不安定さ
それらをはっきりと自覚し、真正面から向き合うきっかけになりました。
もちろん、あの事態がすべて「自分のせい」だとは思っていません。
むしろ、取り巻く環境や、どうしようもない不運の積み重ねが
大きな原因だったと今でも感じています。
けれど、環境や運命を責め続けても、何も変わらない。
変えられるのは、自分自身だけ。
そのことに気づく事ができました。
あのときの自分には、到底そんな考えにたどり着く余裕はなかった。
でも今では、あの経験が自分の土台の一部になっていると、確かに思えます。
環境や他人に振り回されることも少なくなり、
今の私は、自分の意思と行動で、人生を進めることができています。
同じように苦しむ誰かへ
今回は、私が人生のどん底に落ちたときの話を語りました。
皆さんはどうでしょうか。
人生のどん底を感じたことがある人は、きっと少なくないと思います。
今まさにその渦中にいる人も、いるかもしれません。
この記事を読んで、そんな方の気持ちが少しでも楽になったり、
何かのきっかけになれたら嬉しいです。
また、すでに乗り越えた方がいれば、
どんな経験をして、どうやって乗り越えたのか
よければコメントで教えてもらえると嬉しいです。
最後に、これは私の持論なのですが……
私は「あの経験をしてよかった」とは、思っていません。
よく「辛い経験が自分を成長させてくれた」と語る人がいます。
その気持ちも分かります。
でも私は、そんな経験をしないで済むのなら、その方が絶対にいいと思っています。
辛い経験を活かせるかどうかは、内容や状況、そして運に左右されます。
必ずしも、そこからプラスを生み出せるとは限らない。
そのまま悪い方に進んでいく人も、たくさんいます。
だから私は、無理にそれを美談にする必要なんてないと思っています。
辛いものは、辛い。
無理にポジティブに変えなくていい。
今、同じように苦しい思いをしている人がいたら、
どうか「自分が少しでも楽になる」ことを第一にしてください。
逃げても、止まっても、いいと思います。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。



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